Kindle出版って儲かるの?
まるで釣りタイトルのようになってしまいましたが……気になる方も多いのではないでしょうか。
Kindle出版は儲かるのか、否か。
わたしはKindleの編集を仕事の1つにしています。なので、仕事を獲得するためには
「あなたもKindle出版で一発当てませんか? その際、編集は必須ですよ。編集者を入れたら売れるものに仕上がりますから。もしKindle出版をお考えでしたら、その際はぜひ! わたしにご依頼を!」
……と、鬼営業する必要があるのかもしれません。というか、それくらいじゃないと、仕事を継続して獲得するのは難しいのかもしれません。
でも、わたしはむしろ「Kindle出版すれば絶対儲かる!」と信じている人の依頼は受けることができません。
なぜなら、編集者がいくらがんばったとしても、儲かる人は儲かるし、儲からない人は儲からないからです(当たり前ですけど)。
では、どういう人が儲かって、どういう人が儲からないのか?
儲からなくてもKindle出版をする意味はあるのか?
そのあたりを考察していきたいと思います。
Kindle出版で儲かる人の条件
書店での偶然の出会いを作りにくいKindle出版は、オンライン上のつながりの数と質が物をいいます。
あなたが出版するKindleを買ってくれる人数は、あなたがフォロワーにどれだけ支持されているか(数と質、両方の面で)とほぼイコールです。
良質なフォロワーがたくさんいる人=儲かる人。
このあたりは、商業出版ができる人の条件とかぶってきます。
つまり、「編集者が声をかけたくなるような人がKindleを出せば儲かる」わけです。
「本当は商業出版がしたいけど、難しいからKindle出版しよう」という人もいると思います。そういう人たちは儲からないのか?
評判が評判を呼んで、売れ行きが伸びる可能性はもちろんあります。
ただ、現時点では著者さんの予想を大幅に超えて売れる可能性は低いと思っておいたほうが安全だと思います(厳しいことを言ってすみません!)。
ただ、Kindle出版をすることで輪が広がったり、オンライン上での偶然の出会いから読んでくださる方が増えたりする可能性もあります。
何もしないよりは、もちろんやっただけの手応えは感じられると思います。
そもそも出版って儲かるんだっけ?
「儲からないならお金も手間も時間もかけてKindleを出す意味なんてないじゃん」
「編集にお金をかけてまで出す意味あるの?」
そう考える人もいるはずです。そんな人にちょっと知ってもらいたいことがあります。
出版社から本を出す商業出版だって、著者さんにとって「儲かる」かどうかって案外微妙です。
1時間あたり数万円稼げるような人が、10万字の原稿を時間をかけて地道に書く。
書き上げた!と思っても、編集者の赤字が鬼のように入ってすぐ返ってくる。それを半泣きで直す。書く、また赤字てんこ盛りで原稿が返ってくる、直す……。めちゃくちゃ労力と時間がかかります。
それでも印税は10%前後(ライターさんに間に入ってもらい、インタビューを原稿化する場合は手間と時間は省けますが、印税をライターさんと分け合うことになります)。
書籍の印税って著者さんの時間単価×かかった時間に見合わないことも多いんです。
そう考えると、そもそも商業出版だって「儲かる」といえるかどうか微妙です(もちろんたくさん売れれば話は別ですが、そうでない本も実際は多い)。
それでも商業出版をしたいという人は後を絶ちません。なぜだと思いますか?
出版そのもので得られるお金(印税)以上のものが、出版という経験によって得られると期待しているからです(あくまで個人的見解です)。
出版そのもので稼ごうと思っていない人も結構いるんじゃないかなぁと思います。
じゃあ何のために出版するの? 編集者に依頼するの?
わたしはたとえ儲からなかったとしても、編集者に依頼してKindle出版をする意味はあると思っています。
なぜなら、編集者を壁打ち相手として考えをまとめていく過程そのものが、大きな気づきにつながるからです(そうなるよう努力しています)。
その経験が、個人や法人のブランディング、Kindle出版の先にあるマネタイズを後押ししてくれることも多いと思います。
「Kindle出版は『稼ぐ』ためのものではなく、あくまで目標を達成するためのマイルストーン」
そう思っていただいたほうが現実的だと思います。
コンテンツの方向性を決め、系統立ててわかりやすく、読者に伝わるように整えていく作業は決して楽ではありません。
編集者はあくまでコンテンツを「整える」人であり、「生み出す」人ではありません。もちろん全力でサポートしますが、著者さんの代わりにコンテンツを生み出すことはできないのです。
お互いの期待がずれないためにも、Kindle出版のさらにその先に目標を設定してからご依頼いただくことをおすすめいたします。