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編集者とライターでは求められる能力が違う

編集者はライティングもできる人が多いです。
特に雑誌編集の場合は、原稿を書くのも仕事のひとつ。そのため、雑誌編集者はのちにフリーランスのライターになるケースも多いです。

書籍編集者は、基本的に著者さんが原稿を書くので、ライティングの機会は雑誌編集者より圧倒的に少ない。見出しを考えたり、原稿をリライトしたりはしますが、文章そのものを生み出す作業は少ないです。
すでにある原稿を、整理したり削ったりするのが主な仕事。これがいわゆる編集作業ですね。

そのため、「雑誌編集の人はライター気質」「書籍編集の人は編集者気質」という勝手なイメージがあります。

わたしはもともと雑誌編集をしていましたが、「これは違うな」と思って書籍編集に移ったこともあり、「編集者気質濃いめ」という自覚があります。

先日「ザ・職業ライター」の仕事をやる機会があり、自分の「ライター気質の薄さ」を実感しました。同時に、ライターとして求められる能力と、編集者として求められる能力の違いにも気づきました。

今回は、そのあたりについてまとめてみます。


「小さいことを大きく伝える力」が求められるライター

ライターとひと言で言っても、仕事内容は多岐に渡ります。

そのため、ここではあくまで「資料を渡されて『このテーマでこれくらいの文字数で書いてね』と依頼されるライティング仕事」限定で話を進めさせていただきます。

こういう仕事って雑誌まわりで結構あるんです。

雑誌の巻末近くに、読者プレゼントのページってよくありますよね。
わたしが雑誌編集者として編集部に配属されたとき、最初に担当したのがこの読者プレゼントページでした。

会社に毎日のように送られてくる数々の商品リリース(当時は郵送)から読者層に合うものをピックアップし、読者プレゼントとして提供してもらえないかをメーカーや代理店に打診。
OKをいただいたら、決められた文字数の原稿を書き、見出しをつけます。
(新商品紹介や、イベント紹介の原稿も同じようなプロセスをたどる)

原稿を書く際の情報源となるのが、送られてきたリリース。まだ世に出ていない新商品の場合は、リリースに書いてある情報しかない場合もあります。

リリースに書いてある文章にも、まぁいろいろありまして。
文字数はそれなりにあるのに、全然何が言いたいのか伝わってこない。どんな商品なのか、何が売りなのかよくわからない。読者が知りたいであろう情報がない。内容がないよう。そんなことも実は多々あります。

特にラグジュアリー系のものがやっかいです。
先日わたしがぶつかった案件は、まさにこれでした。

やたら豪華そうな修飾語が連ねられているけれど、雰囲気しか伝わらない。
核となる「伝えるべきこと」のまわりの、何となくの空気に文字数が割かれているだけ。
内容がないよう(しつこい)。

で! こういったときにですね。ライター気質の方は力を発揮するのです。

発揮される力とは何か。実体がつかめないものを素敵に膨らませて文字数を稼ぐ力です。
こう書くとあまりすごさが伝わらないかもしれませんが、わたしは希少性の高い能力だと思っています。

語彙力が必要なんです。自分の中から多種多様な言葉を生み出す力がないとできない。

行ったことがない場所、食べたことがない食べ物、使ったことがない商品。
それらを少ない資料、薄い情報をもとにして、想像力を働かせて必要な文字数で書き上げるライティング能力。

もちろん「この能力さえあればライターとしてやっていける」わけではありません。
でも、この能力がある人はライティング仕事を地道に、責任を持って、きちんとこなせるはずです。
ライターとして求められるたくさんの能力のうちのほんの一部ではありますが、この能力があるかないかって大きな分かれ目だと思うんですよね。

インタビューの原稿も、こういう能力が必要かもしれません。その人の魅力を形容する素敵な言葉を生み出して積み上げる能力。

わたしにはこれがあまりありません。やってできないことはないけど、楽しくない。嫌になっちゃう。あっちゃー。


「大きいものから小さな核を抜き出す力」が求められる編集者

では、「編集者として求められる能力」って何でしょうか?

先ほど、わたしはライターとして求められる能力として「小さいことを大きく伝える能力」と見出しで表現しました。

編集者はむしろ逆です。「大きいものから小さな核を抜き出す能力」が必要になります。

大きなものをじーっと眺めて、その中にある「本当に伝えるべき核」を見つける。そして、余計なものを排除して「本当に伝えるべき核」が最も伝わるように情報を整理する。

これです。鉱山から宝石を探し出すような能力です。そして、いらないものを捨てる能力です。

もちろん、ライターとしての能力も編集者としての能力も、どちらもあれば最強です。
ただ、人が持つ能力にはどうしても偏りがある。向き不向きってどうしてもあると思うんですよね。

あなたはどちら寄り?

ライターとして求められる能力、編集者として求められる能力、そのごく一部ではありますが、違いを考察してみました。

あなたはどちらの能力、気質を多めに持っていると思いますか?

文章にまつわることに限らず、そもそもの視点の持ち方の違いかもしれません。

対象物の本質に目を向けるか、対象物がまとう空気に目を向けるかの違い。膨らませるか、凝縮させるかの違い。

うまく表現できているか疑問ですが、そんなことをツラツラ考えてみましたよーというお話でした。

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