PROFILE

かくたす編集室を
運営しています。

こんなことをしてきました

新卒で入社した出版社では生活情報誌の編集をしていました。
料理、健康、手芸、園芸、雑貨、美容など、生活まわりのあらゆるテーマの編集を担当。切り口や見せ方の検討、絵コンテ作成、撮影準備、原稿作成にイラスト依頼と、すべてのことを自分たちで行う方針だったため、編集者の基礎となるスキル・考え方を身につけることができました。

5年ほど勤め、賞味期限が短く消費されやすい「情報」を扱う雑誌ではなく、人生に影響を与える「思考」を扱う書籍の編集をしたいと考えるようになり、書籍を編集できる出版社へ転職。
その後3社を渡り歩きながら、家事・育児・教育・インテリア・ビジネス・自己啓発など、多種多様な書籍編集を約10年経験しました。

出版社で感じたジレンマ

会社に勤めながら、2人の子どもを出産。夫が多忙だったため、今でいう「ワンオペ育児」の日々でした(当時はそんな言葉なかった)。2歳差の子どもを育てながらの会社勤め。正直いって、あまり記憶がありません。子育てに時間も体力も気力も奪われる日々。それでも会社員として実績を残さなければならない。とにかく目の前のことをこなすだけで精一杯でした。

そんな状況ながらも、結果もそれなりについてくるようになり、仕事面は充実していました。ただ、ネットの台頭にともない、SNSで力を持つ著者さんの企画しか通らない。本を売るためには、著者さんの影響力に頼るしかない。発売日前から助走をつけ「初速」を稼がないとすぐに返品されてしまう。1冊あたりの利益が少ないため本をたくさん企画する必要があり、「つくりたい」よりも「つくりやすい」を優先してしまう……。出版業界の実情に流される自分に、嫌気が差し始めてもいました。

ファンが多い著者さんをつかまえ、ファンの方たちが発売日前に(本の中身も見ずに)どれだけ購入してくれるかが勝負。わたしがつくりたかったのは読者の心に深く長く残る「本」だったはず。でも、自分がいま必死でつくろうとしているのは、実体がなく持続性もない「売れそうなムード」なのでは……。そんな疑いがぬぐい切れませんでした。

家族とともに海外へ

育児と仕事で必死な日々を送っていたある日のこと。長年海外で働く夢を抱いていた夫がチャンスをつかんできました。海外で働くことが条件の転職の内定をもらったのです。長年の夢とはいえ、夫にとっては家族が一緒にいることのほうが重要、わたしが日本で仕事を続けたいならその話は断るとのことでした。

しばし悩みましたが、夫の「どこでだって、やろうと思えば何でもできるはず」の言葉、自分がいまの仕事に対して感じているジレンマ、子どもたちの将来のことを考えて、最終的に海外へ帯同することにしました。

個人が自由に発信できるいまだからできること

個人が自由に発信することができるようになったいまだからこそ、「売れる」を主目的にした商業出版では成し得ないことができると考えています。誰もがその言葉で、コンテンツで、どこかの誰かの背中を押すことができる。

コンテンツを0から生み出し、積み上げ、磨き上げる。その過程で味わうワクワク、ふとした気づきを著者さんと共有できるのが、この仕事の醍醐味です。編集という仕事が、やっぱり好きなんですよね。
一緒につくり上げたコンテンツがきっかけとなり、著者さんが次のステージへとステップアップしていく。その背中を見届けるのが、編集者として最大の喜びです。

かくたす編集室 蓮見紗穂