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芦屋和音さん
著者
にじんで、溶けて。
- スタイル
- Kindle
- 発行日
- 2021年5月29日
- 内容紹介
- 性と自意識過剰な悩みに苦しむ中学生男女。彼らをそっと抱きしめてあげるような全5章+αのお話。誰かとつながりたいのにつながれない、思春期の揺れる心情を繊細につづった意欲作。
【第一章】中学三年生の中谷都は、天然美少女の生徒会役員。同じクラスで生徒会長の勅使河原の中指が気になって仕方がない。それは、美術部でエッチな知識が豊富な親友・月渚に漫画を借りて読んでいるからなのか思い悩んで……。
【第二章】佐藤月渚の母はエロ漫画家。月渚自身も漫画家を目指しているが、生活のために妥協しないで好きな漫画を描きたいと思っている。そのために都をモデルにしていた。しかし都は勅使河原のせいで自ら変わってゆくようで……。
【第三章】勅使河原利音は疲労骨折した中指が完治してからもピアノが弾けない。ピアノから離れて気づいたことは、自分も世の中の中三男子と同じだったということ。「理想の自分」と「素の自分」で揺れ動く利音だが、心の中にずっとあったのは「変態」への憧れ……。
【第四章】宇留野愛は毎日睡眠不足だ。愛が毎晩やっていることは、両親の不仲から目をそらすためでもあって、どうしてもやめられない。しかし、元親友の力石友利恵からクラス中に変なうわさが広まっていることを教えられ……。
【第五章】養護教諭の矢野は、中学時代に親友と絶縁した過去がある。引率した修学旅行先では、今の中学生を取り巻く性の情報に危機感を持つ。上辺だけでない性教育をするべく助産師の牧瀬に講師を依頼するが、生徒たちは一筋縄ではいかなくて……。
【エピローグ】仲江川紫門は、体の中に闇を抱えていて……。 - 著者コメント
- 原稿は、Googleドキュメントを使ってやりとりさせていただきました。戻ってきた原稿に入っていたコメントの多さたるや! 職人魂を感じました。おかしな言葉遣いや変な文章の指摘だけではないのです。私の場合は小説だったので、登場人物のキャラに違和感がないか、なぜこのような展開になるのか、読者が疑問に思わないようにしっかり突き詰めて考えてくださいました。ぼんやりしていたお話が、くっきりとテーマを持ったお話に仕上がったと思います。
『夢収集車』のときもそうでしたが、さぼってんさんが文章にとことん真摯に向き合ってくださったおかげで、私は作者としての覚悟を持って物語をさらに深めることができたと思います。本当にありがとうございました! - 編集者コメント
- 章によって主人公が代わっていく構成。読者が自分の思春期に重ね合わせて読めるよう「キャラクターに矛盾がなく、リアル感があること」に特に留意してコメントさせていただきました。和音さんの作品は読後の爽快感が魅力。今回もスカッと爽やかな読後感が胸に残る素晴らしい作品でした。関わらせていただいたことに感謝です!