前回は、Kindle出版をすることのメリットと、商業出版を目指す人こそKindle出版にトライしてみては? ということをお伝えしました。
とはいえ、出版社から本を出したい人って多いですよね。
出版社から本を出すメリットって、やっぱりありますから。
今回は「出版社から本を出すメリット」について、わたしなりの考えをお伝えしていきます。
商業出版のメリット1:「出版社からお墨つきをもらった人」として信用される
出版社で企画が通るということは、あなたの著者力、コンテンツ力が出版社から認められたということです。
【著者力】
①この人は信用できる
②この人が本を出せば売れる
【コンテンツ力】
③この人のコンテンツはおもしろい企画(切り口)として本にできそうだ
④この人のコンテンツは社会に今求められている、もしくは半歩先を行っている
出版社は、いくら人気があったとしても社会的に「何となく怪しい」人の本は出したがりません。
今までの経歴や実績などから「①この人は信用できる」と判断できることが前提条件となります。
そのうえで、以降の②〜④についても「是」と認めてはじめて、出版社は企画を通すわけです。
つまり、出版社から本を出した人=出版社からお墨つきをもらった人。
今でも出版社ってある種の権威を持っているとわたしは思います。
この「出版社の権威」が「出版社から本を出した人の信用」につながっているのではないでしょうか。
商業出版のメリット2:編集者がつく
出版社から本を出す場合、必ず編集者がつきます。
編集者の役割は、著者のメッセージを読者が受け取りやすい形に整えることです。いわば著者と読者をスムーズにつなげるための仲介役。
とはいえ、編集者が手を加えた部分はWordの変更履歴のように印刷されるわけではありませんから、読者にとって編集者は限りなく透明に近い存在です。
でも、編集者がつくかどうかで、仕上がる本はかなり違ったものになります。
以前のnoteにも書いたのですが、文章を書くときは「著者」でありながら、第三者である「編集者」の視点を持つ必要があります。
つまり、1人の人間の中で、主観と客観を行き来させる必要がある。
でも、自分のことを100%客観的に見られる人はいません。
そのため、客観的な視点から「ここがちょっとわかりにくい」「ここをもっとふくらませてほしい」「この書き方だと誤解を招くかも」と指摘してくれる編集者の存在はとても貴重です。
また、校正・校閲をしてもらえるというのも大きいです。
出版社には、校正・校閲という「文章を世に出して問題のない、間違いのないものに仕上げるためのチェック機能」、それから編集という「文章をよりよいものに仕上げるための機能」が備わっています。
つまり、これらの出版社が持つリソースを活用し、文章の品質管理ができるというのが大きなメリットです。
商業出版のメリット3:各分野のプロと仕事ができる
出版社から出す本は紙の本なので、どんな本であれ「装丁」を施す必要があります。
そのため、装丁家、ブックデザイナーと呼ばれる方と関わることになります。
誰に装丁をお願いするかは、出版社側がイニシアチブをとることが多いですが、基本的に「このコンテンツをベストな形で表現してくれる人」を選定してお願いすることになります。
つまり、ブックデザイナーの中でも、さらにその分野のデザインをするのにふさわしいプロが、あなたのコンテンツをどうビジュアル化すれば読者が手に取ってくれるかを徹底的に考えてデザインしてくれるわけです。
そして、装丁に合った紙も選んでくれます(予算によって選べる紙も限られますが)。
企画によっては、カメラマンやスタイリストの方に関わっていただくこともあります(ブログ発の本の場合は、著者の方が撮った写真を使うことが多いですが)。
これって、とっても貴重な体験ですよね。普段自分が関わることのない分野のプロが、自分の本のために力を貸してくださる……。
著者の方もそうですが、編集者にとっても、各分野のプロの方とお仕事できるというのは貴重で刺激的な体験です。
商業出版のメリット4:フォロワー外の人にリーチできる
Kindle本は、あくまでネット上のフォロワーの人と、そのちょっと外側にいる人がメインターゲットとなります。
Kindleのサイト検索や「おすすめ」に上がってきて買ってくれる人もゼロではないと思います。しかし、偶然の出会いはほぼない。
もちろん、内容が良ければ良いほど、フォロワーの方たちが拡散してくれますが、ネットの世界よりもリアルの世界メインで生活している人には、どうしても届きにくい。
出版社から出す本は、当たり前ですがリアルな「モノ」です。そして、それらが実際に全国の書店に並びます。
書店に並ぶことによるメリットは、偶然手に取ってもらえること。
出版社の営業の方が書店さんとの交渉に成功して、たくさん本を並べてもらうことができれば、その分この「偶然」の確率が上がります。
書店で「偶然」あなたの本を手に取った人は、基本的にあなたのことを知らない人です。
つまり、書店というリアルメディアを活用して、あなたのことを知らない人にリーチし、コンテンツを届けることできる。
これは最大のメリットといってもいいのではないでしょうか。
しかも、売れれば売れるほど、いろんなメディアが取り上げてくれるので、さらにあなたのことを知らない人にリーチできるようになります。
このように売れたときの広がりが大きいというのも、出版社から本を出すことのメリットだと思います。
商業出版のメリットは突き詰めると2つ
ここまで商業出版のメリットを4つ挙げて説明してきました。
商業出版のメリット1:「出版社からお墨つきをもらった人」として信用される
商業出版のメリット2:編集者がつく
商業出版のメリット3:各分野のプロと仕事ができる
商業出版のメリット4:フォロワー外の人にリーチできる
このうち、「2:編集者がつく」と「3:各分野のプロと仕事ができる」については、Kindle出版や自費出版でもやろうと思えばできます(お金はかかりますが)。
今は編集者、校正・校閲者もそうですが、ブックデザイナー、カメラマン、スタイリストなど各分野のプロもSNSなどで発信しています。
これらの人たちにコンタクトを取って、お仕事としてお願いすることも不可能ではないと思います。
ココナラなどのサービスを使って探すこともできます。
ですので、出版社から本を出すことでしか享受できないメリットは、突き詰めると以下の2つだとわたしは考えています。
・「出版社からお墨つきをもらった人」として信用される
・フォロワー外の人にリーチできる
「えー、これだけ?」と思われる人もいるかもしれませんが、この2つが手に入る商業出版(ができる権利)ってかなり貴重なプラチナチケットだとわたしは思います。
この2つのメリットをどうしても享受したい方は、商業出版を目指す価値はあると思います。
逆に「うーん、そうでもないかも」という人は、Kindle出版や自費出版などを考えてみてもよいのではないでしょうか。
最近は出版社も発信に力を入れるようになってきました。noteを含め、さまざまなプラットフォームで「出版社が考えていること」を知ることができます。
各出版社の「通る企画のヒント」も潜んでいると思いますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。